2008年人事院勧告に関わる声明
 
1.人事院は8月11日、月例給、一時金ともに2008年度給与を据え置くこととし、地域給与・給与制度見直しの一環としての本府省業務調整手当の新設、医師の初任給調整手当の改善(2009年4月から)、人事評価制度の実施にともなう勤務成績判定期間の見直しなどを内容とする給与勧告を行った。同時に、所定勤務時間を週38時間45分とする勧告を行った。
2.勧告は、2006年に一方的に見直された官民給与比較方法に基づいたものであるが、春闘における給与改善の前進にもかかわらず月例給の官民較差が136円に圧縮され、われわれの期待を裏切る結果になったことは不満である。本府省業務調整手当の新設については、職務給の原則から見ても大きな問題があるとする公務員連絡会の反対を無視し、勧告を強行したことは、極めて遺憾である。交通用具にかかる通勤手当を据え置きとしたことは、本年4月の官民給与比較という制度によるものではあるが、ガソリン代急騰に苦しむ組合員の期待からすれば不満である。自宅(持家)にかかる住居手当が廃止されなかったことは、この間の要請はがきをはじめとする取り組みの成果である。しかし、報告でその廃止の姿勢が明示されますます厳しい状況にあると認識しなければならない。一時金については、春以後景気が減速し、民間一時金が前年比減の傾向にあるなかで、現状維持とさせた。
3.所定勤務時間の短縮については、本来2006年7月の国家公務員の休憩・休息時間見直しとセットで解決すべきものであった。今回、公務員に対する逆風にもかかわらず2009年4月実施として勧告したことは、自治労・公務員連絡会の取り組みの成果である。
4.報告では、非常勤職員の給与に関するガイドラインを勧告後速やかに事務総長通知の指針として発出するとした。これは、自治労・公務員連絡会の取り組みの成果であり、社会保険庁非常勤職員の給与改善につなげていかなければならない。さらに、自治体の臨時・非常勤等職員の処遇改善にむけて、総務省対策と自治体交渉を強める必要がある。また、給与構造改革期間終了後の地域間配分のあり方と能力・実績主義推進のための検討、高齢雇用を前提とした給与水準・体系のあり方の検討に言及したが、給与格差の拡大を警戒するとともに、高齢期の賃金水準の検討・対策を進めなければならない。
5.今後は、所定勤務時間の短縮にかかわる政府の政策決定と国会における取り扱いに焦点が移る。公務員バッシングのなか、きわめて厳しい取り組みが予想されるが、自治体労働者の期待は大きく、公務員連絡会とともに全力で取り組まなければならない。また、住居手当の見直し方針、本府省業務調整手当新設に見られるように、ここ数年来の人事院の自治体労働者を軽視する姿勢は顕著であり、今後、人事院対策とあわせて団体交渉による給与決定制度確立を求めていく。
6.2008自治体確定闘争においては、給与の維持・改善と所定勤務時間短縮を課題に、対人事委員会交渉、対自治体交渉を一層強化しなければならない。とくに、地域民間水準の反映への圧力が強められている一時金と、現業労働者の賃金水準の維持が重要課題となる。政府・与党は、公務員の総人件費削減方針を堅持・継続している状況にあることから、自治体確定闘争をめぐる情勢には厳しいものがある。もとより、労働基本権制約政策が続く限り、その代償措置としての人事院勧告を否定するようなことは断じてあってはならない。勧告の早期実現と不当な賃金引き下げ阻止にむけて、公務員連絡会に結集し全力で取り組むこととする。
2008年8月11日
全日本自治団体労働組合